
「青山讃頌舎」と書いて「あおやまうたのいえ」と読むらしい。この美術館は近鉄大阪線青山町駅の近くにあります。伊賀市青山の地を愛した水墨画家、穐月 明(あきづき あきら)氏の自宅の一部を利用した伊賀市で初めての美術作品等の展示専用施設です。
施設名は穐月氏本人が、地名の青山とその豊かな山河を称える意味で命名されました。現在、穐月氏と伊賀焼の陶芸家、新歓嗣(あたらし かんじ)氏のコラボ展、「新 歓嗣 作陶60年の軌跡」が開催されています。水墨画と陶芸、二人の作家の特徴的な作品を紹介します。



まずは、穐月氏。水墨画であり、自然や仏教を題材にされたものを多く制作されました。このように書くと何か小難しい絵画のように思われるかもしれませんが、全くそんなことはなく、ポップでかわいらしく、ユーモラスな画風で描かれています。代表作は「西国三十三所」シリーズ。各札所寺院の風景を落ちついた色彩で、その上部に寺院の本尊を明るい色彩でそれぞれ描いています。私も西国三十三所の寺院は何度も訪れていますので、馴染み深い風景です。作品は左側(上側)より「七福神」、西国三十三所「番外金剛峯寺大日如来」、西国三十三所「第二十七番圓教寺如意輪観音」。

次に新氏。作品は伊賀焼の特徴である火色の明るい肌身と焼成時の燃料である薪の灰(和歌山県産の松材とのこと)が1300度もの高温で溶けることによって生じる緑色のビードロ釉薬のバランスが絶妙に入っていることが挙げられます。展示されている作品の中にも、桃山時代に制作された「花生(はないけ)」や東京の五島美術館に所蔵されている伊賀焼の名品水指「重要文化財 破袋(やぶれぶくろ)」の復元作品や茶碗などにもその特徴は備わっています。また近年は陶器で仏像や置物なども精力的に制作されています。(下側作品は「風神・雷神」)


また左側(上側)の作品のように、題材があった作品を並べて展示されているものもあり、これは「浦島太郎」を題材にされています。両方の作品共にユーモラスな作風であり、見ていて楽しい作品でした。
訪問した当日は新氏も会場に来場されていたので、お話しさせていただくことが出来ました。また私自身、穐月氏や青山讃頌舎について、この展覧会を鑑賞するまで知りませんでした。彼の残した作品や美術館に出逢うことが出来たことに感謝し、今後も定期的に訪問したいと思います。
最後に両作家のプロフィールを紹介します。
穐月 明氏は、1929年和歌山県高野山生まれ。京都市立美術大学(現京都市立芸術大学)で洋画と日本画の基礎を学びました、卒業間近に水墨画の道へ進みます。その後、独学による修行を重ね、自然や仏教を題材に独自の水墨表現を確立し、自らの道を切り開きました。2017年に他界されています。
新 歓嗣氏は、1944年大阪生まれ。大阪芸術大学クラフトデザイン陶芸科を卒業後、1971年に大阪府岸和田市で作陶を始めました。1975年に伊賀市で築窯、「三軒窯」を主宰されています。作品は茶道具の他、近年では陶器の神仏像も制作されています。
〒518-0221 三重県伊賀市別府718-5


