双響とは|西洋美術と日本美術を「同時代」で読む美術史
――美術史は、時代順に追うだけでも面白い。
けれど本当に世界が立ち上がる瞬間は、同じ時代に別の場所で生きた人間同士を、横に並べて見たときに訪れます。
双響(そうきょう)は、西洋美術と日本美術(東洋美術を含む)を一つの時間軸に置き、芸術家・思想家・為政者・批評家まで含めて「人間の生きざま」として読み直す企画です。
同時代に生きたふたりを並べると、表現は似ていなくても、問いが似ていることがあります。
逆に同じ問いに向かっているのに、文化や制度の違いで答えがまったく別の形になることもあります。双響は、その「響き合い」を手がかりに、西洋美術と日本美術の垣根を越えて理解するための連載企画です。
東西の異なる世界がふと重なるときに生まれる、静かなハーモニーをお楽しみください。
最新公開|今、読める双響
現在公開中の双響シリーズはこちら。各章の入り口としても読めます。
マルセル・デュシャン × 柳宗悦|便器と雑器で〈美〉の根本を問い直した二人
便器と雑器。壊すことと、すくい上げること。正反対の二人が見つめた「美とは何か」。
タグ:A 美術の根源を問う
モネ × 菱田春草|光と霧、破れる輪郭
筆触分割と朦朧体。光と気配、分解と溶解のあいだに現れる「輪郭が揺らぐ瞬間」を追う。
タグ:D 自然観・風景表現
ルノワール × 横山大観|光を抱え直すとき
モネ×春草の「輪郭を破る美」の後、光の感覚をどう引き受け、生き直したか。美を“渡す”という行為を辿る。
タグ:D 自然観・風景表現
ヤン・ファン・エイク × 世阿弥|光と静けさで「見えないもの」を見つめた二人
見えるものを描き尽くすことと、見えないもののために形を削ること。
十五世紀が導き出した、美術の根に触れる二つの結論を辿る。
タグ:A 美術の根源を問う
双響|章構成
A. 美術の根源を問う
霊性・象徴・沈黙を手がかりに、西洋と東洋で「美とは何か」が揺れる瞬間を同時代で辿ります。
デュシャン × 柳宗悦|便器と雑器で〈美〉の根本を問い直した二人
ヤン・ファン・エイク × 世阿弥|光と静けさで「見えないもの」を見つめた二人
B. スケールと時間をめぐる
永遠と一瞬、形式と情念、権力と芸術。巨大化する表現が“時間の感覚”をどう作るかを読み解きます。
(近日公開予定)
C. 都市文化と享楽をめぐる
宮廷趣味から大衆文化へ。都市が生む洗練・装飾・官能の回路を、東西の創造の熱として並べます。
(近日公開予定)
D. 自然観・風景表現の響き合い
光、霧、季節、気配。風景がただの景色から“心の器”へ変わる瞬間を、東西の絵画で響かせます。
モネ × 菱田春草|光と霧、破れる輪郭
ルノワール × 横山大観|光を抱え直すとき
E. 素朴と日常へのまなざし
静物、民の祈り、手の跡。日常の奥に潜む尊さをすくい上げ、派手さではない美の強度を確かめます。
(近日公開予定)
F. 生命と身体をめぐる
肉体、暴力、欲望、構造。生命の熱と不穏を抱えた表現が、近代の「身体の輪郭」を更新していきます。
(近日公開予定)
G. 滅びの美|滅び・執念・蒐集
権力の過剰、崩壊の気配、蒐集の執念。失われゆく美が、なぜ人を惹きつけ続けるのかを辿ります。
(近日公開予定)
H. 芸術家像を問う
天才、抽象、デザイン、越境者。作品だけでなく“作り手の像”そのものが変わる近代以後を照らします。
(近日公開予定)
I. 知と制度/文化史編
宗教、国家、都市、学問、流通。美を支える制度と知の枠組みが、文化の形をどう決めたかを読みます。
(近日公開予定)
どこから読むのがおすすめ?
絵画の根本から入りたい
A. 美術の根源を問うがおすすめです。(→こちらから)
権力と芸術の関係が気になる
B. スケールと時間をめぐる、I. 知と制度/文化史編がおすすめです。
浮世絵や都市文化が好き
C. 都市文化と享楽をめぐるがおすすめです。(→こちらから)
風景・自然が好き
D. 自然観・風景表現の響き合いがおすすめです。(→こちらから)
素朴な表現や、日常の美に惹かれる
E. 素朴と日常へのまなざし がおすすめです。(→こちらから)
身体表現や近代の衝突が見たい
F. 生命と身体をめぐる、G. 滅びの美|滅び・執念・蒐集がおすすめです。
抽象・デザイン・芸術家像に興味
H. 芸術家像を問うがおすすめです。(→こちらから)
今後の配信予定
今後、二週に一回のペースで配信を予定しています。
バッハ×近松門左衛門|形式に宿る情念、信仰と哀しみ
ルーベンス×俵屋宗達|動と静、肉感と装飾
エル・グレコ×長谷川等伯|精神性の可視化、静の水墨
ルドルフ2世×古田織部|美と狂気、過剰の果てに生まれる崩壊
アンリ・マティス×熊谷守一|色と静寂、削ぎ落とされた歓び
ルター × 蓮如|信仰の再配線──制度から民衆へ
