1.展覧会概要
2025年10月4日(土)から11月30日(日)まで、京都文化博物館にて特別展「世界遺産 縄文 ― 縄文の美と精神」が開催されます。
この展覧会は、2021年に世界文化遺産に登録された「北海道・北東北の縄文遺跡群」を背景に企画され、日本各地に残された縄文文化の魅力を総合的に紹介するものです。テーマは「一万年」「一生」「一年」という三つの時間軸。日本史の中でもっとも長大な時代である縄文時代を、人々の暮らしや精神性という具体的な視点で体感できる構成になっています。
展示されるのは全国の博物館や研究機関が所蔵する国宝2件を含む約250点。土偶や土器、装身具、漆製品などは、教科書の図版を超える迫力を放っているのではないでしょうか。多彩な資料を通じて「縄文人の生き方と祈り」に迫り、単なる考古展にとどまらず、美術やデザインの観点から縄文文化を見直す絶好の機会となるでしょう。
2.コレクション元・開催の背景
展示資料の中でも特に注目すべきは国宝の土偶たち。山形県立博物館が所蔵する国宝『縄文の女神』や、函館市縄文文化交流センター蔵の国宝『中空土偶(茅空)』、岩手県立博物館蔵他の『遮光器土偶』等の日本を代表する土偶たちで、これらは会期中に展示替えを行いながら紹介されるため、複数回訪れることで異なる作品に出会うことができます。
縄文の遺跡が主に東日本を中心に分布していることから、関西で目に触れる機会は少なく、これほど大規模に縄文を紹介する機会は稀です。また京都という歴史都市で縄文文化を振り返ることには、古代から続く「人と自然の共生」の意義を再考することも込められているように感じます。
この展覧会が、土器や土偶が考古資料としての価値だけではなく、美術品としての魅力を再確認できる機会であり、その造形の美や縄文人の精神文化に触れられる展覧会といえるでしょう。
3.見どころ・キーワード紹介
本展は「三つの時間」というキーワードで構成されています。
① 一万年の時間
縄文時代が1万年以上も続いたことを示す展示です。土器の形態の変遷や集落跡の資料を通じて、他に類を見ない長期安定的な状態を維持した文化の特徴を学ぶことができます。展示作品には、縄文早期から晩期にかけての多様な土器群があり、各時期の土器の形や文様の変遷を通じて「時間とともに変わる感性」が見えてきます。
② 一生の時間
人間の一生をテーマにした章です。誕生から死までを見つめる中で、人々が祈りや願いを込めた造形物が展示されます。特に土偶は、安産や豊穣を祈る対象として注目されます。『縄文の女神』はその象徴的存在であり、女性の豊かな身体を強調した造形は縄文人の精神世界を映し出しています。装身具や石器類からは、日常生活の中に込められた美意識を知ることができます。
③ 一年の時間
季節の移ろいと共に営まれた生活を紹介します。四季に応じて使用された漆製品や狩猟具、漁労具などが展示され、自然と密接に結びついた生活の様子を知ることができます。漆の器や装飾品は、美術的な価値の高さに加え、保存状態の良さから縄文人の高度な技術を物語ります。
★注目作品と見どころ★
『縄文の女神』(国宝・山形県立博物館蔵)
高さ45cmを超える圧倒的な存在感。豊かな胴部を強調した造形は生命の象徴とされ、見上げると包み込まれるような迫力があります。腰のくびれに注目してみてください。(画像:wikimedia commons)
『中空土偶(茅空)』(国宝・函館市縄文文化交流センター蔵)
内部が空洞という特異な技法が用いられています。丸みを帯びたフォルムはユーモラスで、同時に祈りの深さを感じさせます。(画像:wikimedia commons)
『遮光器土偶』 5体(岩手県立博物館、青森県立郷土館 風韻堂コレクション、大仙市、東北大学大学院文学研究科)
吸い込まれそうな大きな目の表現が特徴的で、いつ見てもその造形に驚かされます。縄文人の想像力がどれほど豊かだったかを物語る人物型土偶です。
『彩文漆塗浅鉢形土器』(青森県立郷土館 風韻堂コレクション)
漆でうねる文様が描かれた稀少な土器。実用と美の両立が見事で、現代の工芸品にも通じる完成度です。
★ほぼ撮影が可能。
4.まとめ
特別展「世界遺産 縄文」は、縄文文化を単なる過去の遺産としてではなく、現代社会における人と自然の関係、祈りや美意識のあり方を考えさせてくれる展覧会だと思います。
この展覧会は美術展としても見ごたえ十分で、未来を考えるための特別な機会と言っても過言ではありません。もしあなたが縄文の祈りを象るなら、どんな形を選ぶでしょうか?
この秋、京都で縄文人と出会う旅に出ませんか?ぜひこの機会に会場を訪れ、縄文人の残した美と精神にふれあってみてください。
5.展覧会情報
特別展「世界遺産 縄文 ― 縄文の美と精神」
会場:京都府京都文化博物館(3・4階展示室) 〒604-8183 京都市中京区三条高倉
開催期間:2025年10月4日(土)〜 2025年11月30日(日)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日休館)
開館時間:10:00〜18:00(金曜は19:30まで、入館は閉館30分前まで)
観覧料:一般 1,800円(前売・団体 1,600円)、大学・高校生 1,200円(前売・団体 1,000円)、中学・小学生 500円(前売・団体 300円)
巡回情報:群馬県立歴史博物館へも巡回します。2026年1月17日(土) ~ 2026年3月8日(日)


