企画展・特別展まで視野に入れると見えてくる、東京文化散歩のすごい一枚
東京で美術館や博物館を巡ろうと思うと、気になる展覧会がいくつか重なっただけで、入館料はあっという間にふくらんでいきます。そんなときに頼もしいのが、「東京・ミュージアム ぐるっとパス2026」です。
これは、東京を中心とする107施設の入場券・割引券がセットになったQRコード型のパスで、価格は2,500円。最初に利用した日から2か月間有効で、美術館だけでなく、博物館、庭園、動物園、水族園まで含まれています。
ぐるっとパス事務局への取材によると、この企画は、東京都民だけでなく、国内外から東京を訪れる人々に、東京の歴史や芸術文化に手軽に親しむ機会を提供することを目的としています。
2026年版では、新たに「お茶の文化創造博物館」「渋沢史料館」「青梅市吉川英治記念館」が加わり、「東京都江戸東京博物館」「神奈川県立歴史博物館」が再参加となりました。参加施設数は107施設で、過去最多とのことです。
ここまでは「便利でお得な周遊パス」の話ですが、対象展覧会一覧を見ていくと、印象はもう一段変わります。
4月から9月までの対象展情報を見ると、企画展や特別展まで入場対象になる館がかなり多く、さらに割引の幅が大きい館も少なくありません。ぐるっとパス2026は、単に“数をこなして元を取るチケット”というより、東京の文化施設を日常的に楽しむ人にとって、かなり密度の高い一枚になっています。
企画展・特別展まで見えてくると、ぐるっとパスの印象は変わります
例えば、パナソニック汐留美術館では「企画展・ルオーギャラリー入場」、五島美術館では「企画展入場」、大倉集古館と泉屋博古館東京では「企画展・特別展入場」が可能となっています。都心にある実力館や上質な古美術・工芸の館が、企画展レベルで入場対象になっているのは大きな魅力です。
現代美術の軸でも、東京オペラシティ アートギャラリーや、WHAT MUSEUM、NTTインターコミュニケーション・センター[ICC] も「企画展入場」となっており、ぐるっとパスは、古典寄りの館だけでなく、現代の表現に触れる入口にもなっています。
また、国立映画アーカイブの「企画展入場」も見逃せません。映画ポスターや映画監督に関する展覧会が対象となっており、美術館・博物館の枠を少し越えた文化体験へと広がっていきます。上映会は対象外ですが、展覧会を見るだけでも十分に面白い内容です。
さらに都心以外でも、府中市美術館は「コレクション展・企画展入場」、町田市立国際版画美術館も「企画展入場」となっています。上野から多摩まで、エリアの広がりも想像以上です。
割引館もかなり充実しています
ぐるっとパスの魅力は、無料入場対象の多さだけではありません。割引館の内容もかなり充実しています。
たとえば松岡美術館は一般・25歳以下料金の50%引、三井記念美術館は企画展・特別展が300円引、静嘉堂文庫美術館は企画展が200円引です。館の質と割引の強さの両方がそろっており、単なる“おまけの割引”ではありません。
すみだ北斎美術館は「北斎を学ぶ部屋」が入場対象で、企画展・特別展は20%引。
東京都江戸東京博物館も、企画展は入場対象、特別展は20%引という混合型です。
無料で楽しめる部分と、割引で楽しむ大型展の両方があることで、ぐるっとパスの使い勝手はさらに高まっています。
こうして見ていくと、ぐるっとパス2026は単に「たくさんの施設に入れるパス」ではありません。
都心の実力館から、古美術、工芸、映画、版画、現代美術まで、想像以上に幅広い文化体験が含まれています。下の表では、特に記事で見せやすい館を、対象内容・一般料金の目安・最寄り駅つきで整理しました。企画展・特別展まで含めて見たときに、このパスがどれくらい使えるのかが、より具体的に見えてくるはずです。
主力20館
| 館名 | ぐるっとパス対象内容 | 一般料金の目安 | 最寄り駅 | ひとこと |
|---|---|---|---|---|
| パナソニック汐留美術館 | 企画展・ルオーギャラリー入場 | 展覧会ごとに異なります | 汐留駅 徒歩約5分 | 汐留でルオーや版画系の企画展まで入れるのは強いです。 |
| 五島美術館 | 企画展入場 | 1,100円 | 上野毛駅 徒歩5分 | 館蔵のやきものや意匠を、落ち着いた空気で味わえる一館です。 |
| 大倉集古館 | 企画展・特別展入場 | 一般1,000円/特別展1,300円 | 六本木一丁目駅 徒歩5分 | 古美術・工芸の格があり、「ここも対象なのか」と驚きやすい館です。 |
| 泉屋博古館東京 | 企画展・特別展入場 | 展覧会ごとに異なります | 六本木一丁目駅 徒歩3分 | 六本木で上質な古美術・工芸を見られるのが魅力です。 |
| 東京オペラシティ アートギャラリー | 収蔵品展・企画展入場 | 企画展は展覧会ごとに異なります | 初台駅 直結 | 現代美術の軸を入れるならとても使いやすい一館です。 |
| 国立映画アーカイブ | 企画展入場 | 展示室 一般250円 | 京橋駅 徒歩1分 | 映画ポスターや映画史まで射程に入るのが面白いです。 |
| 府中市美術館 | コレクション展・企画展入場 | 企画展 一般800円 | 東府中駅 徒歩17分 | 多摩エリアの実力館で、企画展まで無料対象なのが大きいです。 |
| 東京都美術館 | 対象展入場 | 一般1,200円 | 上野駅 徒歩7分 | 知名度の高い東京都美術館で対象展に入れるのは象徴的です。 |
| 東洋文庫ミュージアム | 企画展入場 | 一般1,000円 | 駒込駅 徒歩8分 | 本と東洋学の世界に触れられる、静かな“通好み”の一館です。 |
| 永青文庫 | 企画展入場 | 一般1,000円 | 江戸川橋駅 徒歩15分 | 大名家コレクションの厚みを感じられる上質館です。 |
| 渋谷区立松濤美術館 | 特別展入場 | 一般1,000円前後 | 神泉駅 徒歩5分 | 渋谷にありながら静かで、展覧会の個性も立っています。 |
| WHAT MUSEUM | 企画展入場 | 一般1,500円 | 天王洲アイル駅 徒歩4〜5分 | 建築や現代アートの流れを入れたいときに効く一館です。 |
| 町田市立国際版画美術館 | 企画展入場 | 展覧会ごとに異なります | 町田駅 徒歩15分前後 | 版画の専門館としての強さが、そのまま記事の厚みになります。 |
| 古代オリエント博物館 | 館蔵品展・特別展入場 | 一般600円 | 東池袋駅 徒歩6分 | 文明史の視点を足せるので、文化記事として奥行きが出ます。 |
| たばこと塩の博物館 | 常設展・企画展・特別展入場 | 一般300円 | とうきょうスカイツリー駅 徒歩約10分 | デザイン史や生活文化の切り口がつくりやすい穴場です。 |
| 松岡美術館 | 常設展・企画展50%引 | 一般1,400円 | 白金台駅 徒歩7分 | 半額インパクトが大きく、館の質まで高いのが魅力です。 |
| 三井記念美術館 | 企画展・特別展300円引 | 特別展は展覧会ごとに異なります | 三越前駅 直結圏 | 都心の人気館で300円引はかなり使いやすいです。 |
| 東京都江戸東京博物館 | 企画展入場/特別展20%引 | 特別展 一般1,300円(例) | 両国駅 徒歩1〜3分 | 無料と割引が両立していて、使い勝手の良さが際立ちます。 |
| すみだ北斎美術館 | 「北斎を学ぶ部屋」入場/企画展・特別展20%引 | 常設一般400円/企画展は別料金 | 両国駅 徒歩5分 | 北斎で20%引はわかりやすく、お得感も出しやすいです。 |
| 静嘉堂文庫美術館 | 企画展200円引 | 一般1,500円 | 二重橋前〈丸の内〉駅 直結 | 丸の内の立地も含めて、内容と使いやすさのバランスが良いです。 |
まだある。見逃したくない追加6館
| 館名 | ぐるっとパス対象内容 | 一般料金の目安 | 最寄り駅 | ひとこと |
|---|---|---|---|---|
| 山種美術館 | 特別展200円引 | 一般1,400円 | 恵比寿駅 徒歩約10分 | 日本画の名館として知名度が高く、読者受けもしやすいです。 |
| 東京都写真美術館 | 一部展覧会入場/一部企画展は団体割引相当額 | 展覧会ごとに異なります | 恵比寿駅 徒歩約7分 | 写真・映像の軸を入れると、記事に現代性が出ます。 |
| 戸栗美術館 | 企画展200円引 | 一般1,200円 | 渋谷駅 徒歩15分 | 伊万里や鍋島など、やきもの好きにはかなり刺さる一館です。 |
| 菊池寛実記念 智美術館 | 企画展入場 | 展覧会ごとに異なります | 神谷町駅/六本木一丁目駅圏 | 現代陶芸が著名ですが、2026年秋まで休館予定とのことです。 |
| 豊島区立熊谷守一美術館 | 常設展・企画展入場 | 一般700円 | 要町駅 徒歩9分 | 大規模館とは違う、静かな良さを添えられます。 |
| NTTインターコミュニケーション・センター[ICC] | 企画展入場 | 企画展により異なります | 初台駅 直結 | メディアアートまで射程に入るのが、ぐるっとパスの面白さです。 |
※表中の対象区分はぐるっとパス公式PDFに基づきます。料金は一般料金の目安で、展覧会ごと に変動する館もあります。アクセスも含め、来館前に各館公式サイトで最新情報をご確認ください。
※菊池寛実記念 智美術館は、対象展情報PDFで2026年秋まで休館予定の注記があります。
使い方のコツは、“元を取る”より“自分の回り方をつくる”ことです
事務局への取材では、初めて利用する人には、公式ウェブサイトやパンフレットを参考に、まず行きたい施設を選び、その近隣施設もあわせて周遊する楽しみ方が勧められていました。
有効期限は2か月あるので、一日で無理に詰め込む必要はありません。上野で数館、別の日に皇居周辺、また別の日に多摩へ、というふうに、少しずつ巡っていく使い方ができます。
ぐるっとパス2026は、慌ただしく回って得をするためのパスというより、東京の文化施設を生活のなかに少しずつ差し込んでいくためのパスとして使うほうが似合います。
ある日は美術館、ある日は映画や写真、またある日は工芸や日本画へ。そうした文化の往復が、2,500円という価格で開かれているのです。
まとめ
東京・ミュージアム ぐるっとパス2026は、107施設という数の多さだけでなく、企画展・特別展まで視野に入る館の充実ぶりに大きな魅力があります。しかも、割引館の顔ぶれまでかなり強く、内容を丁寧に見ていくと、その価値は想像以上です。
単に“安く回れる”というだけでなく、東京の文化をもっと気軽に、もっと日常的に、自分の歩幅で楽しむための仕組みとしてよくできています。展覧会に行くきっかけを少し増やしてくれる一枚として、この春以降の東京散歩に加えてみたくなります。
東京・ミュージアム ぐるっとパス2026 基本情報
東京・ミュージアム ぐるっとパス2026は、東京を中心とする107の美術館・博物館等の入場券・割引券がセットになったQRコード型パスです。
価格:2,500円
販売期間:2026年4月1日から2027年1月31日まで、オンライン販売のみ2027年3月31日まで。
有効期間:最初の利用日から2か月間、最終有効期限は2027年3月31日です。電子チケットとカード型の2種類があります。
詳細はこちらから:
107施設の展覧会情報、ぐるっとパス2026パンフレット、ぐるっとお得!施設情報
※本文中の企画意図、2026年版の注目ポイント、初めての楽しみ方、利用時の注意点は、ぐるっとパス事務局へのメール取材に基づきます。
※対象展覧会情報は2026年2月現在の4〜9月情報です。購入前・利用前に、各施設の最新情報を必ずご確認ください。


