第11回日展巡回展②

【洋画部門①】

〇佐藤 淳(さとう あつし)
特選 「アヴェ・マリア」 F100

作家によると、フランスのランス、ノートルダム大聖堂を訪れた際、ファサードにある受胎告知の彫刻に深い感銘を受け、そこからインスピレーションを得て作品を制作したとのことです。背景に描かれた彫刻は平面的な表現で描かれていますが、手前に配置されたユリ、バイオリン、レモン、ワイン、ブドウなどのモチーフは写実的かつ立体的に表現されており、まるで画面から浮き上がってくるかのような印象を与えています。
これらのモチーフはキリスト教における象徴的な意味を持っています。ユリは「聖母マリア」、レモンは「神の光」、ブドウとワインは「キリストの聖なる血」や「永遠の命を与える飲み物」のシンボルです。また、バイオリンはシューベルトの「アヴェ・マリア」の旋律を想起させ、作品全体に聖なる雰囲気を漂わせています。

佐藤 淳|第11回日展

〇佐藤 祐治(さとう ゆうじ) 日展会員
「古城の村」 F130

作者によれば、この作品はスペインのカスティリャ地方にある県都の一つ、ソリア周辺の風景を描いたものとのこと。この地域には標高1000mを超える山地が広がり、人口が100人に満たない小さな村々が点在しており、作品には、急峻な渓谷の上に密集する歴史を感じさせる家々や、その背後の丘に連なる廃墟となった古城が描かれています。
全体として非常に幻想的な風景が広がり、同時にどこか懐かしいノスタルジックな感情を呼び起こす作品となっています。

佐藤祐治|第11回日展

〇湯山 俊久(ゆやま としひさ)  理事「水辺秋光」  F130

この作品は、秋の山あいの小路を描いており、その周辺の景色はすっかり紅葉に染まり、「黄色」や「橙色」の鮮やかな彩りが特に目を引きます。紅葉した木々の葉は、すばやいタッチで生き生きと描かれており、その小路を風が吹き抜ける空気感までも見事に表現されています。

湯山俊久|第11回日展