公益財団法人日本美術院が主催する日本画の公募展、「院展」の京都会場（2025/1/28～ 2/2）を紹介します。京都会場では受賞作や関西にゆかりのある作品87点が展示されていました。彩やかな日本画の饗宴をお楽しみください。
【文部大臣賞】「神渡し」 同人 山田 伸
画面全体が眩しく輝いており、草の葉や舞い散る落ち葉のみが目に入ります。眩しい光の後ろには何があるのか？その何かの気配を感じながら、さまざまな想像が掻き立てられる作品です。
「夕映の松」 同人 那波多目 功一
公園にある松の大樹。枝を大きく広げ、厳しく、またやさしく人々を見守っています。夕焼け空は私たちの記憶の中にあるノスタルジーを思い起こさせます。松の大樹はいつまでも私たちを見守ってくれています。
「昴」 同人 清水 由朗
巨大な画面いっぱいの宇宙の中にSLが描き込まれおり大迫力の作品です。私たちを宇宙空間へ誘い、一緒に旅をしている気持ちにさせてくれました。中央に描かれる「昴」は一際美しく輝いています。
「森の中（屋久島にて）」 同人 吉村 誠司
屋久島でのスケッチを元にした作品とのことですが、画面全体が灰色に塗られており、森の中の風景が隠されています。隠れている部分には何かあるのか？見えないことでより神秘性が増し、その分、我々の想像を掻き立てます。
「守る」 同人 伊藤 髟耳
薬師如来の眷属、十二神将をモデルにした作品。彼らは個々に干支の動物を掲げて表現され、この作品も「寅」「卯」「辰」が描かれています。カラフルかつコミカルで楽しい作品であり、今後12体を描かれるようなので、完成が楽しみです。
「映」 同人 小田野 尚之
日本のどこの田舎でも見られる風景ですが、その細密な描写力に驚かされる作品です。特に水田に映る樹木の表現が美しく、同色の空と呼応して作品を深く印象付ける効果を担っています。
「縞」 同人 松村 公嗣
黒と白のラインが無数に絡みあっており、一見すると抽象画のようにも見えますが、よく見るとシマウマが無数に描かれています。一体何匹この作品には描かれているのでしょうか？数えてみてください。
「甘露、甘露でございます。」 髙田 咲惠
はちみつ色の画面の中に花が咲き乱れ、タイトルの通り、作品全体から甘い香りが漂うようです。「甘露、甘露。」甘い匂いに誘われて花の周りをたくさんの蝶が作品の中を舞っています。
（再興第109回 院展 彩やかな日本画の饗宴③に続きます。）
